2005-05-06から1日間の記事一覧

オートマトン時代の終焉

バベッジの当初の目標は、むろん機械にチェスをプレイさせることでした。しかしミニマックス法でチェスをプレイする場合には、膨大なメモリが必要となります。フルスペックでも1000個の数値 (10進数50桁) しか記憶できなかったとされる解析機関は、明らかに…

解析機関

バベッジは階差機関の挫折と前後して、プログラム方式を採用した次世代の自動計算機、すなわち解析機関の設計に着手しています。そのパーツを一通りデザインし終えたあと―――それはちょうど政府が階差機関を見放した頃でもあるのですが―――彼は20年前にやりか…

Tit-Tat-To

「ターク」の虚実は、バベッジにとってそれほど切実な問題ではありませんでした。彼はそれよりもむしろ、自分なら実際に自動チェス人形を作ることができるかどうかという問題に興味を持ちます。バベッジが「ターク」に影響を受けてゲーム研究を始めたことを…

バベッジのゲームマシン (2)

バベッジが自動チェス人形「ターク」と対面したのも、やはりメルツェルによるイギリス巡業 (前回参照) においてでした。このときバベッジは28歳。王立協会の特別メンバーとして、さまざまな数学/物理学研究に勤しんでいた時期です。当時発表した論文のなかに…