跳舞毯とは?

昨日の話に少し出てきた、ファミコンチップによる家庭用ダンスダンスレヴォリューション・跳舞毯。そんなに大流行していたのなら、日本にも多少は情報が入ってきていそうなものですが、見たところまったくといっていいほど話題になっていません。そこで今日はその正体を追ってみました。

跳舞毯は「ダンスマット」という意味で、本来は「ダンスダンスレボリューション」型ゲームに使うマット式コントローラの総称です。なぜゲームそのものではなくコントローラのほうが紹介されるようになったのかというと…まあぶっちゃげた話、ゲームは「発売」されなかったからです。

アーケード版やプレイステーション版の本家「ダンスダンスレヴォリューション」は、中国ではあまり大きな影響力を持っていなかったといいます。中国への輸出が禁止されていたためでもありますが、仮に海賊版が手に入ったとしても、当時はまだプレイステーションの普及率があまりに低かったこともあり、普及の足掛かりにはなりえなかったわけです。

跳舞毯ブーム到来のきっかけになったのは、PC用の「ダンスダンスレヴォリューション」が登場したことだった…と多くの跳舞毯研究が指摘しています。しかし、このゲームのPC版が登場するのは、跳舞毯ブームより後のことです。ここで言っているのは、日本産の各種DDRシミュレータ、とりわけDiet Diet Revolution '99のことを指すものと考えてまず間違いないでしょう。というのは、このゲームに関する中国語の情報サイトが、驚くほど豊富にあるからです。

当初このゲームのためのコントローラは、密輸入品を改造するか自作するかして用意するほかありませんでした。しかしプレイステーション用「ダンスダンスレヴォリューション」のマット式コントローラを下請け製造していたある中国の工場が、中国国内にも需要が生まれていることを確信し、純正品と同等のPC用コントローラを国内でも流通させるようになります。これはたちまち日産一万枚を超える空前のヒット商品になり、同様のマットを製造する企業は一気に十数社にまで増加。大量生産により価格は急降下し、粗悪品なら一枚40元 (600円前後) で手に入るようになったといいます。日本生まれの数本のフリーソフトが、おそらく作者氏たちの預かり知らないところで、巨大ビジネスを発展させていたわけです。びっくり。