家庭用跳舞毯の登場

PC用でそれだけヒットするなら、もっと普及しているプラットフォームでも使えるようにすれば、さらに人気を博するのではないだろうか。そういうことを考える企業が現れるようになるのも、すぐでした。そして1999年末、なんと跳舞毯対応ゲーム機能を組み込んだVCDプレイヤが登場するのです。実際の製品に関する情報はほとんど確認できないのですが、おそらくこれで家庭用「ステッピンステージ」みたいなものが実現していたのではないかと思われます。

ご存知のかたも多いと思いますが、中国や東南アジアでは、VCDプレイヤが標準的なビデオ再生機器として普及しています。当時すでに7000万台が普及していましたが、跳舞毯対応機能を付けることによって、その買い換え促進とさらなる新規需要開拓を見込もうとしたわけです。

跳舞毯対応機種を最初に生み出したのは新天利、博士龍の二社でした。詳細は不明ですが、両社の第一号機はSuper VCDベースの比較的高級なモデルで、それぞれ1000元 (約1万6000円)、1780元 (約2万8000円) と決して安くなかったにも関わらず、数ヶ月で三万台を売ったといいます。次いでこの戦線に裕興科技が乗り込んできました。裕興はかつて中国有数のファミコン互換機メーカーとしても知られたVCDプレイヤ企業で、この中では最大手といっていい存在です。彼らは大陸のみならず台湾や香港、シンガポールにまで大々的に製品を展開していますが、どこでも製造が需要にまるで追いつかないほどの好評ぶりだったそうです。

しかしその後、これらとはまったく別の「粗悪な」類似品が大量に出まわるようになります。こちらのタイプは映像がすべてアニメーションで、サウンドも電子音のみという話なので、くだんのワンチップファミコンで制御されている跳舞毯とは、これのことを指すのでしょう。2000年当時の価格は180-280元 (約2900-4500円) 程度で、現在は数十元にまで落ちているというので、こっちのタイプもVCD一体型なのかどうかは、ちょっと怪しいです。あるいは跳舞毯そのものにチップが組み込まれていて、テレビに差すだけで使えたりするのかもしれません。