任天堂とエミュレータ特許

先日話題にしたエミュレータ無断使用の件について、すいづたくみ氏が「エミュ開発者が譲歩しても、任天堂がどう動くかがわからない」という旨の発言をしておられます。なるほど、任天堂は現在、GBAで動作するエミュレータの大半をカバーできるエミュレータ特許を出願中でもあることですし、あまりいい気分はしないでしょうね。この特許はすでにPocketNESなどでも使用されている、ドットの間引きかたに関する技術なので、多分成立したりはしないと思いますが、どう転ぶにせよ、現状で任天堂が下手に動けば、不当な圧力ということになりかねないはずです。結局ジャレコの件については黙認ということで終わるのではないでしょうか。

ただし、任天堂エミュレータに関してなんとしても法的優位に立ちたがっている様子は、今年三月に成立したエミュレータ特許の一件からもありありと覗えますし、今後何が起こるかは、まだまだ予断を許しません。このエミュレータ特許の解釈をめぐっては未だに議論がありますが、スラシュドットジャパンで指摘のあった、もっとも重要なポイントに触れている人は、なぜかあまりいないようですね。これを読めば、特許の影響範囲が意外なほど狭いことが分かります。

ここで言及されている「所定のゲームに特化した処理をする」エミュレータとしては、UltraHLE (Nintendo 64) などごく少数が知られているのみで、特許成立時に槍玉に挙げられたFirestorm gbaZでさえも、そんな技術を使った憶えはないと主張しています。同エミュレータオープンソースでの公開に踏みきることになった背景には、そのへんを証明してやろうという意識があったわけです。結局あの特許は、任天堂によるエミュレータ撲滅キャンペーンの旗印に過ぎなかった―――とさえいえるのではないでしょうか。いやはや、今後もこういう形で特許が利用されるのだとしたら、さすがに末恐ろしくなりますね。