Ultracade

ウルトラケードをご存知でしょうか。合法エミュレータを内蔵し、過去のアーケードゲームをまとめて提供するという、ある意味で夢のような業務用筐体です。ただし海外限定で販売ライセンスを得ているものなので、残念ながら日本国内では触れる機会もなく、ほとんど話題にもされないまま今日に至っています。独自開発のOSやエミュレータを使用しているので、当初は再現性に若干問題があったようですが、最近は大幅に改善されているとのこと。目だった悪評も聞きません。

現在の発売元はウルトラケード・テクノロジ社。しかしもともとはPC用グラフィックカードで知られるQuantum3D社の製品でした。彼らにはミッドウェイやセガなどのアーケード用ハードウェア開発にも深く関わってきた前歴もあり、その方面での人脈と経験を活かして、ウルトラケードのようなビジネスを具現化させるに至ったわけです。

ウルトラケードの出荷は2000年7月、タイトージャレコカプコンからライセンスを獲得した約50本のタイトルとともにスタートしました。開発グループはすぐにハイパーウェアという子会社に移り、ここでウルトラケードのサポートに集中。最終的には東亜プラン、ユニバーサル、ジャレコ、スターンなどの作品を加え、約60作品を利用できるまでになったのですが、ビジネスとしての成果は芳しくなく、2002年11月にハイパーウェアは事業を凍結、ウルトラケードは一度命脈を絶たれることになります。

しかし開発グループはウルトラケードのサポートを継続するべく、ひっそりとウルトラケード・テクノロジーズを興していました。再起を図る彼らの動きは、今年になって急速に本格化。新たなライセンスも少しずつ増加し、現在ではテクモやユニバーサルなどのタイトルを含めた86作品が標準で利用できるようになっているほか、アタリやミッドウェイのタイトルを含む追加ゲームパックも続々登場しています (少し前まではナムコのゲームも利用可能だったのですが、契約がこじれて取り止めになったようです)。さらにウルトラケードの家庭用バージョンとしてアーケードレジェンズという廉価システムもリリースされており、レトロゲーム人気が加速するいま、ふたたび注目を集めつつあります。