Midway 8080 System

DNAは翌年バリーに吸収され、完全にそのシンクタンクとして機能するようになりました。これによりミッドウェイはアタリにも劣らぬ最先端ヴィデオゲーム技術の担い手として、大きく飛躍することになります。「ガンファイト」を手がけたデイヴ氏とトム・マクヒュー氏は、次に完全オリジナル新作「シーウルフ」 (1976) の開発に取り掛かっています。潜水艦ゲームという新しいジャンルを切り拓いたこの作品は、「ガンファイト」をも上回る人気作となり、およそ1万台を出荷。ミッドウェイにおけるDNAチームの評価は確固たるものとなりました。

ところで「シーウルフ」は「ガンファイト」の基板をベースにしています。「ガンファイト」は、同じ基板を複数のゲームで使い回せるようにする、いわゆるシステム基板の先駆けでもあったのです。この通称ミッドウェイ8080システムボードは、1980年頃まで使用されていました。

元祖システム基板的なものは「スペースインベーダー」ではなかったかと思われるかもしれませんが、実はその「スペースインベーダー」にしてからが、ミッドウェイ8080システムで生み出されたものだったそうです。デイヴ・ナッチング氏の証言によると、タイトーは「スペース・インベーダー」を完成させるにあたって、このシステム基板を無断でコピーしていたということです。現にミッドウェイは、同システムを使ってオリジナルと寸分違わぬ「スペースインベーダー」を動作させていますし、そもそも三年前の基板で動いてしまうこと自体が (ドーターボードでいくらか性能アップしていたとはいえ) 不自然なことですから、デイヴ氏の言葉は事実と考えて差し支えないでしょう。ミッドウェイはおそらく、このことを黙認する代わりに、北米における「スペースインベーダー」の製造販売権を独占する契約を結ばせたのではないかと思います (スターンも「スペースインベーダー」をライセンス製造していたことが知られていますが、これもミッドウェイの管理下にありました)。タイトーがミッドウェイに独自の続編制作を許していたことなどから見ても、ミッドウェイがいかに強い立場にあったか分かるというものです。こういった抜け目のなさで、ミッドウェイはアタリを凌ぐ北米最大のアーケードブランドとしてのし上がっていくわけです。

[10/23追記]: タイトー版とミッドウェイ版のゲームプログラムは、バイナリレベルでも酷似していることが分かっています。この事実もまた、ハードウェアの差異がいかに少ないかを示唆しているといえるでしょう。