Feeding Frenzy

ゲームセンタ向けエミュレータ筐体「ウルトラケード」でお馴染みのウルトラケード・テクノロジ社は、最近それと並行して、オールドスクール風オリジナルゲームの開発も進めています。「フィーディング・フレンジ」はその第一弾で、ひたすら魚を食べまくるだけというきわめてシンプルな内容のゲームなのですが、これが海外アーケード市場ではなかなかに好評を博しているそうですよ。

このゲームはもともとスプラウト・ゲームズという零細メーカが開発したWindows用ゲームで、今年1月よりダウンロード販売されていたものです。零細とはいっても、その内実はマイクロソフト、シエラ、EAなどのソフトを手がけた人々で構成されるエキスパート集団。試しにWindows用のデモ版をやってみたのですが、単純ながらも飽き指せない工夫が随所に見られました。その甲斐あって100万超ダウンロードの人気作となり、やがてウルトラケード・テクノロジの眼にも止まってアーケードデビューを果たしたというわけです。

しかしいくらよく出来ているとはいっても、これだけこじんまりしたゲームがアーケードで歓迎されてしまう状況は、日本から見るとなかなか理解しがたいものがあるかもしれません (シンプルといっても、近年のナムコ製ゲームのようにアイデアではっとさせる類のものではありませんからね)。まあどうあれ海外アーケード市場に、単なるレトロ/ノスタルジアを超えた次元で軽薄短小なゲームを欲しているプレイヤ層があるというのは確かなようです。ジャンルとしてのクラシックは、案外こんなところから定着していくのかもしれませんね。

それにしても、パソコン方面の話題作がアーケードにもたらされるという流れは「ヘクシオン」(1992) ぐらいから絶えて久しかったことです。まったく方向性は違いますが、日本でも期せずして「メルティブラッド・アクトカデンツァ」なんて企画が動いていますね。こっちは現段階ではいろいろ微妙なようですが、この辺を皮切りに、小粒なPCゲームのアーケード向けアレンジがビジネスモデルとして成立するようになれば、なかなか面白いことになりそうな気がします。

ウルトラケード・テクノロジ社は、「フィーディング・フレンジ」および同時期発売の「タイトー・アーケードクラシックス」が売れ行き好調なため、元アタリゲームズ社長を相談役に迎えるなどして、さらに営業を強化していくようです。開発中のラインナップには、鬼ごっこをモチーフにした「タッジェム」、光線銃ゲーム「バンカーバスター」、そして「Mr.Do! パワーボールズ」なんていうリメイクの名前も見られますね。今後の展開に期待したいところです。