アタリとアミガの末裔・3DO

3DOのカスタムチップを設計したNTG社が、あのLYNXを手がけたエピックス社の (もっと遡ればアミーガ社の) スタッフたちにより設立されたものだったという事実は、日本では意外なくらい知られていません。しかし今にして思えば、どこからともなく最新鋭の技術を携えて現れ、大企業に買いとってもらうというアプローチは、確かに両機種とも共通していました。

3DOのカスタムチップは、短いライフスパンのなかで2段階の進化を遂げています (プラット氏によると、NTGではチップ開発に独自開発のロジック設計言語とソフトウェアシミュレータ、そして22V10を始めとする大量のPLDを使用していたそうです)。最初期のものはグラフィックスを司るMADAMチップとサウンドを司るCLIOチップで構成され、次に両者を統合したANVILチップへと発展。そして最後にCPUも一体化し、CALVINチップとして完成します。

次世代3DOとなるはずだったM2のチップセットには、このCALVINの全機能が集積されていたようです (M2が3DOの拡張ユニットとして発売されていたら、初代3DOのチップセットが無意味にもう1セットあることになっていたのだとか)。M2のテクノロジが松下電器に売却されて以降、チップレベルでどういう展開があったのかまでは、さすがに分かりません。

ところでM2は、わりと最近までゲームと関係ない世界で細々と現役だったのですね。末期の姿はM2 Express!さんが異様に詳しいですが、M2システムを扱っていた松下のインタラクティブメディア事業部は2002年2月1日付で新設のITプロダクツ事業部に併合され、M2システムの公式ホームページもこの直後にひっそりと姿を消したようです。