北、80年代初めにマイクロコンピューターを開発

北朝鮮の初期コンピュータ開発事情に触れた珍しい文章ということで、やや古い記事ではありますが、ご紹介させていただきます。

一読するとどうも「マイクロコンピュータ」という言葉の用い方に違和感を感じますが、元記事は「초 미니컴퓨터」(超ミニコンピュータ) と記しているようです。問題のコンピュータはフランスのMitra 15がベースになっているということですから、これはやはりミニコンピュータと読んだほうがいいでしょう。

このMitra 15というのは、フランスのCII (Compagnie Industrielle pour l'Informatique) 社が1971年に開発したラックサイズの16ビット機です。制御用途を重視した設計で、TTL ICと磁気コアメモリにより構成されています。のちにはソ連に輸出され、ハンガリーでもライセンス製造されていたというので、共産圏では比較的よく知られたコンピュータだったのでしょう。また実際に軍事用として販売されていた実績があるので、そのために北朝鮮の注目するところとなったのかもしれません。

Mitra 15は最初からマイクロプログラム方式を採用しているので、「ここに開発チームが独自に研究したマイクロプログラム制御方式を適用した」という記述はどういうことなのかいまいち判然としません。そのあとパーソナルコンピュータとの比較が出てくるのもよく分からないところで、北朝鮮がその恩恵に与ったのはだいぶ後の話だと思うのですが (コメント欄にて水城徹氏に教えていただいた記事によると、1981年からMZ-80系機種が大量に輸入されていた模様)、いずれにせよ白頭山102号はあまり有効には活用されなかったようですね。

参考: BULL computers chronological history