[7/28追記]

書評というからにはいい点も書いておくべきというご指摘をいただきましたので、そのあたりを。いろいろ問題含みなれど、ハードの制約を初心者にも分かりやすく説明し、そこに対しどのような技術が用いられたか例示するという本書の目的そのものは、ある程度成功していると思います。少なくとも、初心者向けの「音源史入門」としては良い線を行っているんじゃないでしょうか。特にスーパーファミコン以降の時代における楽器表現の工夫については類書のない領域なので、わりと重宝するかもしれません。この時代こそ筆者にとって一番思い入れ深いところであるのは間違いなく、最初からここにフォーカスする本にしておけば、全体的に散漫な印象になるのを回避できたのではないかと思います。