VintageTech製 PDP-1レプリカ

調べてみると、問題のレプリカはわざわざ「テレビゲームとデジタル科学展」のために作られたものであることが分かりました。科学展のほうでは、当初やはりコンピュータ歴史博物館にPDP-1の貸し出しを打診していたようなのですが、何しろ故障中なので応じられるわけもありません。そこで博物館側は、ヴィンテージ・コンピュータ・フェスティバル (VCF) に話を持っていきました。VCFといえば毎年同博物館で開催されている旧世代コンピュータの祭典ですが、その責任者であるセラム・イスマイル氏はビンテージ・テック社の経営者として、旧世代機レプリカの設計にも実績があるのです。そこで彼にPDP-1レプリカの開発を依頼し、科学展ではそれを使ってもらおうという話にまとまったそうです。

そういう経緯で急遽生み出されたこのレプリカ、外見は驚くほどオリジナルによく似ていますが、さすがに内部まで寸分違わず同じというわけにはいきませんでした。イスマイル氏の解説によると、ケースの中に収められているのは、実はLinux PCで、これでPDP-1シミュレータ・SIMHを動作させているに過ぎないようです。とはいえこのシミュレータも特別製で、グラフィック表示に対応していることはもちろん、パネル操作やランプの挙動なども抜かりなく再現しているとのこと。見たところ紙テープの読み込みも可能なようですし、少なくともかなり実機に近い感覚で扱うことができるのは間違いなさそうです。

ところでこのPDP-1レプリカ、実は商品化の予定もあるそうです。販売対象は一応フロントパネルおよび入力部のみとなっていますが、要望があれば完全セットでも提供するという話なので、興味のあるかたは直接イスマイル氏にご質問してみてください。