2005-01-01から1年間の記事一覧

コンピュータとモダニズム

「ゲームはまずゲームとしてあるべきだ」というパーカー以来のデザイン哲学を圧倒的に普遍化させたのは、いうまでもなくコンピュータの存在です。コンピュータがゲーム史において果たした役割は、近代芸術史において写真や映画が果たした役割とよく似ていま…

遊びとしてのゲーム

ここまでに見てきたような動きは、いってみればモダニズムの第一波です。それは近代技術あるいは近代思想によって伝統的ゲームを再生産しようという潮流であり、本当の意味で伝統を塗り替えようとする試行ではありませんでした。古来人間はゲームに何かしら…

ゲームデザイナの誕生

近代まで職業的なゲームデザイナが存在しえなかった理由はごく単純で、ゲームを個人作品化する手だてがなかったからに他なりません。伝統的なゲーム遊具は、中世後期までにある種の汎用ゲームシステム化を遂げていました。チェス盤、バックギャモン盤、トラ…

ゲームのなかのモダニズム

「ポストモダン化するコンピュータゲーム」の続きです。そもそもゲームにモダニズムなんてあったのか? あったとすればどのような? そのあたりを明確にせずにいきなりポストモダン化なんていう言葉を持ち出したことに対して、抵抗感を感じた人もいらっしゃる…

テトリスの10年

恐らくインベーダーを動かせる基板なら、テトリスを実装することも可能だったのではないかと思います。しかしインベーダーが登場してからテトリスが登場するのに、実に10年かかりました(あくまで日本国内での登場年です)。純粋にゲームデザイナーの思い付…

水木潔語録

前回少し言及した任天堂の水木潔氏は、「ゲーム」よりも「玩具」の面白さを優先するというポストモダン的立場を鮮明に主張した、日本最初のゲームデザイナのひとりではないかと思います。氏は「ビートマニア」や「ニンテンドッグス」といった野心的な成功作…

ポストモダン化するコンピュータゲーム

コンピュータゲームは非コンピュータゲームと何か本質的に違うものかもしれない――ということは、たぶんゲームプレイヤの多くが漠然と感じてきたことだと思います。「ゲーム, プレイヤ, ワールド」は古典的ゲームモデルというものを提唱し、そこからの逸脱可…

ジュール氏への反論 (2) - フィクション性の位置付け

ジュール氏はフィクションの要素をゲームの成立要件に加えていないわけですが、この点に関しても不満を持つ人がいるかもしれません。氏は1999年に発表した修士論文 "A clash between game and narrative" のなかで、インタラクティヴ性と物語性は根本的に水…

ジュール氏への反論 (1) - 可変かつ数値化可能な結果

ジュール氏の六要素に対する否定的な見解は、今のところそれほど多くは見られないとはいえ、皆無というわけでもありません。反論者がとくに槍玉に挙げるのは「可変かつ数値化可能な結果」です。これはもともと『ルールズ・オブ・プレイ』が提唱した要素では…

ゲーム, プレイヤ, ワールド : ゲームたらしめるものの核心を探る

デンマークのルドロジストであるジェスパー・ジュール氏が執筆した、ゲームの定義の決定版ともいえる論文 "The Game, the Player, the World: Looking for a Heart of Gameness" (2003) を翻訳しました。ゲームとは何ぞやという問いかけに対して、今のところ…

Capcom Bowling 〜 Golden Tee 3D

このようにインクレディブル・テクノロジーズはミッドウェイの血脈に連なっているわけですが、1990年代初頭までは「Qバート」のサウンドを手がけた元ゴットリーブ社のデヴィッド・シール氏も主要メンバーとして活躍していました。設立当初はヴィデオゲームを…

Marvin Glass & Associates

DNAがヴィデオゲーム史に果たした役割については以前詳しく述べましたが、MGAもまた興味深い歴史を持つ会社です。もっとも彼らの場合は最初からヴィデオゲームメーカーだったわけではなく、その創業者マーヴイン・グラス氏はそもそも高名な玩具発明家でした…

Incredible Technologies

インクレディブル・テクノロジーズは、アタリやミッドウェイが撤退したいま、アメリカにおける最古参かつ最大手のアーケードヴィデオゲームメーカーとして君臨している企業です。とはいっても事業規模はそれほど大きくなく (従業員100名程度)、日本で知られ…

Golden Tee PlayTV 発売決定

pnp

ラディカ・ゲームズのプラグ&プレイ新作がアナウンスされています。今度は2006年秋にインクレディブル・テクノロジーズの代表作「ゴールデン・ティー・ゴルフ」をリリースするとのことですが、アーケードからの移植となるのか、体感路線の新作となるのかは、…

『Retro Byte』も創刊へ

イギリスでは先月お伝えしたもうひとつのレトロゲーム誌の創刊準備も着々と進んでいるようです。こちらの誌名は『Retro Byte』と決まり、先行予約の受け付けも始まっています。創刊号はシネマウェア特集ということで、ショーン氏らしくカジュアル層置いてけ…

『Retro Gamer』復刊

『Retro Gamer』誌が廃刊になりそうだという話を先々月にお伝えしましたが、幸いにもイマジン・パブリシング社によって丸ごと引き継がれることが決定しました。この出版社は今年創業したばかりの若い企業で、資力は未知数なのですが、新編集長には隠れレトロ…

RetroPC.NETのMolice氏が当雑記のバナーを作ってくださいました。ありがたいことです。

MSX時代のコナミUK広報マネージャ インタビュー (the MSX Games Box)

MSX

前々回ご紹介したように、ZXスペクトラムの世界には1980年代から1990年代にかけて無数のアーケード移植作品が登場していたわけですが、オリジナルの開発元が自社ブランドで移植を手がけるようなケースはほとんどありませんでした。稀有な例外といえるのはア…

『それは「ポン」から始まった』 書評

当雑記をご覧のかたなら既にご存知だとは思いますが、『ゲームマシン』紙の編集に半生を費やしてきた赤木真澄氏によるアーケード・ヴィデオゲームの歴史書が、先日出版されました。これまでアーケードゲームの歴史がいかに漠然と語られてきたか、ということ…

かんたんにできるZXスペクトラムのエミュレーション

スペクトラムのゲームをプレイするもっとも手軽な手段は、ZX32エミュレータ (Windows) を使用することです。私が作成した日本語化パッチをここに置いておきます。たいていのゲームはこのソフトを起動してZIPファイルをドラッグ&ドロップするだけで動作するの…

ZX Spectrumの版権タイトル一覧

配布許可の下りているZXスペクトラム市販ソフトの管理団体・ワールド・オブ・スペクトラムが、興味深い資料を公開しました。アーケード移植、出版関係、アニメ関係、コミック関係、映画関係、テレビ番組関係、音楽関係、ブランド関係、人物関係、スポーツイ…

UKで新レトロゲーム誌創刊へ

長年にわたって『Micro Mart』誌で「Retro Mart」を執筆し、『Retro Gamer』誌の編集にも関与していた、UKレトロ出版界の顔役ともいえるショーン・ベビントン氏が、今年11月に新たなレトロゲーム専門誌を創刊するべく準備を進めているとのことです。『Retro …

活力健美

中国の代代星 (TIME TOP) が、昨年の健身舞台に続いて、また新型の跳舞毯をアナウンスしています。今度の製品は携帯型「ダンスダンスレヴォリューション」ともいうべき新境地―――もしくは「ゲームロボット九」への逆行。つまり、8方向にランプを配置した本体…

『Retro Gamer』廃刊か

今月頭に隔月刊化の話が出たばかりの『Retro Gamer』誌ですが、出版元のライヴパブリッシング社が深刻な経営危機にあることが発覚し、急転直下で廃刊に追い込まれようとしています。同社は今日明日じゅうにも営業停止する見込みで、『Retro Gamer』編集スタ…

Commodore 128 生誕20周年記念映像 公開

今年はアミーガだけでなく、コモドール128もまたひっそりと20歳の誕生日を迎えています。コモドール128というのは、6502系とZ80の両方を搭載したツインCPU仕様のコモドール64上位互換機です。標準でCP/Mが付属しており、これによってコモドール64の入り込め…

Homebrew Computer Club ニュースレター集 オンライン公開

パーソナルコンピュータの起源というのは定義次第でいろいろ変わってくるものですが、ユーザー文化の出発点はどこかということになれば、ホームブルー・コンピュータ・クラブ (HCC) をおいて他にないでしょう。それはパーソナルコンピュータに魅せられた人々…

なぜAVSは評価されなかったのか

AVSが市場の興味を惹かなかったのは、アメリカでは「アタリショック」の傷跡が生々しかったためだというのが通説です。しかしこれはもともと任天堂アメリカの言い分であって、実際のところは商品コンセプトにも明らかに欠陥があったといわざるを得ません。AV…

NESはかつてAVSだった (FORT90)

今年5月にニューヨークでオープンした任天堂直営店・ニンテンドー・ワールドには、ちょっとした博物館スペースがあり、過去の任天堂を彩ったさまざまな製品たちが展示されているそうです。歴代のゲーム機はもちろん、花札や各種ゲーム&ウォッチまでもずらり…

Play TV Legends Outrun 2019 / Play TV Legends Menacer 発売中

ここのところプラグ&プレイ機方面はアタリ以外ずいぶん大人しいな―――と思っていたら、いつの間にかラディカゲームズから新作が登場していました。ともにワンチップメガドライブをベースにした製品で、ひとつはハンドル型コントローラをフィーチャした「プレ…

元最高齢ヴィデオゲームチャンプ、タイトル奪還に燃える

1984年、58歳にして「Q*バート」の世界チャンピオンに輝いたドリス・セルフという女性が、79歳になる今年、再びチャンピオンの座に挑戦するそうです。セルフ女史のツイン・ギャラクシーズ公認記録は1,112,300点。この記録そのものは翌年には抜かれてしまった…