The Woz Wonderbook 公開

アップルIIリファレンスマニュアル (通称「レッドブック」) の原本ともいえる、スティーヴ・ウォズニアク執筆のテクニカルドキュメント集が、「ウォズ・ワンダーブック」の名の元に再編集され、PDF形式の文書ファイルとしてダウンロード可能になっています。直筆部の文字が薄くて読み取りにくいので、正直なところ何が書いてあるのかよく分からないのですが、こういう貴重な内部文書が公開される海外の状況は、ともかくも羨ましい限りです。

ところで、ユーザマニュアルが後になってから整備されたことからも分かるように、最初期のアップルIIは決して使い勝手に配慮しているとはいえない製品でした。そもそもアップルIIは、最初から今日知られているような完成型マシンとして売られていたわけではないということをご存知でしょうか。大々的な製品発表が行われる少し前に、アップルIIはまずマザーボードだけで先行リリースされていたのです。

1977年第一四半期に出回った申込用紙を読む限り、どうも当初の予定では、アップルIIはまずワンボードマイコンとして完結するはずだったように見受けられます。ケースはあってもなくてもいいオプション扱いになっていますし、だいたい一体型の発売を仄めかすような文章が、どこにも出てこないのです。そんなアップルの販売態勢が急変するのは、同年4月の正式発表前後でした。コンピュータフェアでのお披露目までに、完成品としてのアップルIIに申し分のない注目が集まっていたということなのでしょうね。同時期の価格リストを見てみると、早くもマザーボード版が姿を消していることに気付きます。

今日のパーソナルコンピュータの原型を作り出したのはアップルIIである―――という主張をよく耳にしますが、こういう経緯をみるとむしろそれは逆で、時代の必然がアップルIIをあのようなスタイルへと導いたといったほうが正しいのではないかと思えてきます。考えてみればTK-80やSOLにだって、ワンボードから完成型へというベクトルが作用していたわけですからね。

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