レトロショップ事情

ゲーム好きなロンドンっ子をつかまえて「昔のゲーム機なんかを売っている店が、どこかにないだろうか?」と尋ねてみましょう。たいてい真っ先に教えてくれるのが「コンピュータ・エクスチェンジ」 (CEX)、もっと正確にいうと、ロンドン地下鉄地図のど真ん中・トテナムコートロード駅そばにある、中古ゲーム館です。ここはロンドン市内でもっともレトロ関係に気合いを入れている店舗といえますが、ではコモドールやスペクトラムがごろごろしているのかというと、残念ながらそんなことはありません。というよりコンピュータ方面にはほとんど力をいれておらず、私が行ったときには、Acorn Electron (UK政府公認機・BBC Microの弟分) がぽつんと一台、約4000円で売られているのみでした。聞いた話では、レトロコーナーは最近元気がないそうなので、タイミングが悪かったのかもしれません。

コンピュータ方面で何か探すなら、CEXより見逃せないのが、ノッティングヒル・ゲート駅 (トテナムコート駅から地下鉄で一本) の正面にある「コンピュータ・ゲームズ・エクスチェンジ」です。この一画には「ミュージック・アンド・ビデオ・エクスチェンジ」系列の古着屋・中古レコード屋・古本屋などが建ち並び、ちょっとした中古ショップ街の趣を呈しています。「コンピュータ・ゲームズ・エクスチェンジ」もその一軒で、主力ゲーム機の中古ソフトはもちろん、アミガやPCのディスクゲームから、日本ではまずお目にかかることのないコモドール64やZXスペクトラムのテープゲームまで、幅広い品揃えを誇っています。ただし残念ながら、こちらもハードウェアはほとんど扱っていません。スペクトラムからアミガまで共通していえることですが、旧世代パソコンを店先で探すのは、簡単ではありません。街外れに点在する古道具屋や、UK各地に展開する「キャッシュ・コンヴァーターズ」チェーン (質屋兼中古屋) をしらみ潰しに当たっていけば、まあ見つからなくもないですが、ネットオークションとか雑誌の売買欄 (これが意外に活発) のほうが簡単確実です。どうしても現物を物色したい場合も、後述するフリーマーケットに足を運んだほうが効率的でしょう。

さて、両店ともに目を惹いたのは、なんといってもセガ・マスターシステム用カートリッジの充実ぶりでした。NESの中古と流通量が大差ないあたりは、さすが世界随一のマスターシステム大国。セガの面目躍如といったところでしょうか。価格も一本200円からと非常に手頃なので、好きな人にはたまらないでしょう。対照的に肩透かしを食らったのは、アタリ関係です。2600からJAGUARにいたるまで、中古ソフトはそれほど市場に出回っていない感触でした。とはいえ見つかったら見つかったで、一本500円から2000円くらい (プレミア品除く) のものだったので、それほど稀少というわけでもないのでしょう。単純に人気薄なのだと思います。CEXのほうでは、メガドライブ、ドリ−ムキャスト、ネオジオPCエンジンなど、日本製ゲームの中古が妙に充実しているのも興味深かったです。思ったより需要はあるようですね。

とまあ、そんな感じで、両店ともそれほど大きくはありませんが、一度訪ねておいて損のない店であることは間違いありません。