ミッドウェイ、「ディフェンダー」無断使用でソニー・エリクソンを提訴

海外で人気の携帯電話・エリクソンT68 (ジョイスティック付) には、最初から六本のゲームが内蔵されています。このなかの一本は、あからさまに「ディフェンダー」に似せたものなのですが、その著作権を保持するミッドウェイ・ゲームズが、これは無許諾のコピー・配布であるとして、先日提訴に踏みきりました。

スラッシュドット方面では「二十年以上前のゲームを、ただ似ているというだけで訴えるのは強引だ」という声が見られますが、訴訟としてはまあ珍しくもない内容です。しかし分からないのは、この携帯電話が登場したのはもう二年以上も前で、しかも現在出回っている後期バージョンは、すでにこのゲームを削除してあるという話なのに、何故いまになって突然蒸し返すのかということです。どうもこの背景には、バイアコムの会長によるミッドウェイの買収劇と経営改革が絡んでいそうですね。訴訟に先立つ二週間ほど前から、ミッドウェイ内部では会長交代役員の大幅異動などが矢継ぎ早に行われています。それによる体質変化が、こういう形で表出したのではないでしょうか。

日本では「モータルコンバット」によるカルト的な知名度しかない会社ですが、実のところ現在のミッドウェイは、アタリ・ゲームズやウィリアムズと一体化しており、いまや新生アタリとならんで、在りし日の米国アーケードそのものを体現する存在になっています。もっとも1999年にはピンボール部門を閉鎖、2001年からは主戦場だったはずのアーケードからも撤退しており、衰退の色は隠せません。現在は家庭用一本に専念していますが、それでも業績不振には歯止めが効かず、そう遠くない将来に最悪の事態を迎えるのではないかという懸念も囁かれています。しかしなにしろ、彼らを支えるネームバリューとアーケード時代の遺産は、欧米においては巨大なものです。レトロゲーム人気のおり、これを放置しておく手はないということで、一時期はマイクロソフトが買収を計画しているという噂さえ流れたほどでした。なんだか往時のアタリを思わせる状況にあるわけですが、しかし今回の一件で、ミッドウェイ自ら法律戦略などを強化し、新経営陣のもとで強気の経営に転じていこうとしている様子が示されたといえるでしょう。眠れる獅子の再起なるか。