Tulip Computers, C64 Direct-to-TV の発売を予定

いやはや、プラグ・アンド・プレイ復刻の潮流はどこまで拡大していくのでしょうか。今度は、昨年7月にコモドールの商標を買い取ったオランダのチューリップ社が名乗りを上げました。正式なライセンスを持つメーカの参入としては、JAKKS Pacific, INTV Corp., Radica Gamesに続いて、四番手ということになりますね。

チューリップがアナウンスしたのは、コモドール64のゲーム30本を収録した「C64 ダイレクト・トゥ・TV」。今年下半期に30ユーロで発売するとのことです。米国向け (NTSC仕様) も予定されているので、日本のテレビにも接続できそうです。肝心のラインナップについては、いまのところエピックス (アタリ・LYNXの設計に深く関わったことで有名。現在はアタリが権利の大半を保有) のClassic Gamesシリーズ、つまりSummer Games, Winter Games, World Games, そしてLYNXファンには堪らないCalifornia Gamesの四本が挙げられているのみで、それ以外は不明です。形状は見たところJakks Pacificの「Activision 10 in 1 TV Games」によく似たものになるようです。しかしコモドール64の名作にはキーボード操作を要求するものが少なくないので、収録タイトルは必ずしも人気作ばかりとは限らないかもしれません。

それにしても例によって、内部のメカニズムが気になるところです。コモドール64をワンチップ化する具体的な試みは聞いたことがないし (というか、サウンド部にアナログ回路を抱えている関係上、FPGA/PLDテクノロジによる完全ワンチップ化は事実上不可能といわれています)、チューリップにその方面の技術的蓄積があるとも思えないので、おそらくJAKKSやINTVがやっていたように、手作業による移植に走るのではないかと見られます。となると、移植精度に問題が出てくる可能性も高いでしょう。じっさい、Slashdotにはすでにその種の不安が渦巻いています。まあコモドール64の場合は、アタリやナムコと違って正式な復刻そのものが珍しいわけですから、こういう製品が出るだけでもまずは十分歓迎に価すると思いますけどね。

from Lee's Peek`n' Poke

MSX互換マザーボード「eMSX2++」開発プロジェクト始動

MSX用のさまざまな同人ハードウェアを開発・販売しているスペインのLeonardo Padial Electronics (LPE) が、MicroATXケースに収納可能なMSX2+互換基板開発をスタートしました。これまで試行錯誤を重ねていたEMSXをコンパクト化しつつ、さらに一歩前進させたもので、MSX Resource Centerの記事によると、以下のような仕様を予定しているそうです。

  • 3.5MHzから50MHzまでで動作可能なZ80プロセサ
  • V9958 VDP
  • 512kB RAM, 128kB VRAM, 512kB FLASHメモリ
  • RTC (リアルタイムクロック)
  • PS/2キーボード接続可能
  • Joystickポート
  • 双方向EPPプリンタポート
  • カートリッジスロット
100%互換を謳ってはいるものの、いまのところPSGはあえて搭載しない方針のようです。LPEは一方でPSG/SCC/FM (OPLL) 搭載のMSX用新音源カードを販売してもいる (現在は休止中っぽいですが) ので、サウンドはこれに任せて、メイン基板はとにかく低コストに抑えようということなのでしょう。サウンドをあえて完全互換にしないところも含めて、この設計思想はロシアのZXスペクトラム互換機・Sprinterにかなり近いものといえます。これは私の知る限り、まがりなりにも商業ベースに乗っている唯一の現行8-bit互換パソコンです。それだけにeMSX2++は、CIEL 3++MSX Phoenix Projectのような、一向に進展する様子のない他のMSX互換機プロジェクトよりは、よほど有望といえるのではないでしょうか。もちろんMSXである以上、実機と100%同じBIOSを使うことができないというネックが、どこまでも付き纏います。そこがスペクトラムとは決定的に違うので、今のままでは思うようには普及させられないでしょうけどね。