コモドール64版GEOS フリー公開

昨年8月のApple II版に続き、ついに本家コモドール64版GEOSがフリー公開されました。

日本ではほとんど無名に等しいGEOSですが、1986年にこのコモドール64版が登場したときには「たった200ドルの8-bit機でMacintoshばりのGUIが使える」ということで、大いに注目を集めたといいます。こうやって見比べる (The Graphical User Interface Gallery) と、どれくらい頑張っていたか把握しやすいのではないかと思います。ちなみにこの前年に発売されていたコモドール128というツインCPU仕様の後継機でなら、GEOSマルチタスク処理さえこなしました。

コモドール64のスペックを考えればほとんど奇跡ともいえるようなこのOSを作り出したのは、 バークリー・ソフトワークス (現ジオワークス) という、それまでは知名度などないに等しい会社だったのですが、その功績はコモドールも認めるところとなり、やがてGEOSコモドール64本体に付属するようになります。一介のサードパーティ製OSが事実上の標準OSにまで成り上がったなんていう例は、ほかにはちょっと聞いたことがありません。

GEOS用の各種実用ソフトは十分にプロフェッショナルなもので、ゲームマシンとしての毛色が強かったC64に、ビジネス分野で活用されるチャンスを与えることにもなりました。コピープロテクトが強力すぎる (このせいで以前はエミュレータ上で動作させるのも大変だった) という問題はあるものの、それ以外は目立った欠点もなく、かなりの成功をおさめたGEOSは、その後Apple IIIBM PCに移植されることになります。ちなみにApple II版の画面はこんな感じですね。

PC版も出足は悪くなかったようです。発売当時にはWindowsにもまだ今日ほどの勢いがなく、一定の評価を得るには得ていました。しかしやがてWindows95が台頭してきたため、成功には至らず終わります。現在も根強いユーザー層に支持されてはいるものの、昨今はむしろその軽快さから、携帯端末用OSとして注目される機会が多いようです。

(追記: コモドール64版をエミュレータで使用する方法について、こちらで大雑把にまとめてみました)