Magnavox Odyssey3

ヨーロッパで2637Nのゲームシステムが出回りはじめた頃、マグナヴォックスもまた、ポストVCSの座を狙った新鋭機・オデッセイ3の開発を進めていました。マグナヴォックスは再びインテルにグラフィクスチップの開発を依頼しようと考えていたようですが、インテルはすでにヴィデオゲーム市場への興味を失っていたらしく、これを辞退しています。マグナヴォックスは代わりに、グループ企業であるシグネティクスに新チップの製造を委託したようですが、結局製品化には至りませんでした。ここに至って8244の血脈は、完全に途絶えることになったわけです。

オデッセイ3は、それでも一応完成することはしました。ただしいぜん8244主体で、拡張ヴィデオチップにより背景描画だけを強化したマイナーバージョンアップ機としてです。これは過熱する北米ヴィデオゲーム市場を避けて、ヨーロッパでのみ少数がリリースされました。


マグナヴォックス後期の隠れた傑作「Killer Bees」 (1981)。左はそのオデッセイ2版で、右がオデッセイ3版。MSXなみに強化された背景は、フランス・トムソン社のテレテキスト用チップによるもの。オデッセイ3のグラフィクス強化は、これを8244の画面にオーバーラップさせただけだった。アタリやコレコの新鋭機に立ち向かうにはあまりにも非力で、北米市場を嫌気するのも無理はなかったといえる。

名称 解像度 色数 スプライト 背景
Intel 8244 (NTSC)
8245 (PAL)
144x96 8 横方向に16キャラクタ (8x8/単色, ROMに64キャラクタ内蔵) グリッド (9x8ブロック)
Signetics 2636N 128x200 8 横方向に4キャラクタ (8x10/単色) グリッド (16x20ブロック, 形状可変, 2ピクセル高と8ピクセル高を交互に配置)
Signetics 2637N 128x208 / 128x104 9 画面内に4キャラクタ? (8x8/単色) パターン (8x8/単色, 16x26または12x13ブロックに配置)
次回はアタリに話を戻し、その家庭用機のスプライトについて綴ります。
参考: