バベッジのゲームマシン (2)

バベッジが自動チェス人形「ターク」と対面したのも、やはりメルツェルによるイギリス巡業 (前回参照) においてでした。このときバベッジは28歳。王立協会の特別メンバーとして、さまざまな数学/物理学研究に勤しんでいた時期です。当時発表した論文のなかには、「ナイトツアー」と呼ばれるチェス駒を使ったパズルを、微分方程式によって解く方法の紹介などもあります。学生時代以来の熱心なチェス愛好家であり、幼いころからのオートマトン愛好家でもあった彼が、「ターク」に興味を覚えるのは、ほとんど必然だったといえるでしょう。

バベッジは「ターク」と二度対決しましたが、どちらも敗北に終わりました。しかしどこかで人間が操作しているということは確信しており、人形の後ろに隠し扉があるに違いないと推理したりしています (これはまったく的外れでしたが)。