Clean Sweap

1974年6月、ラムテックはアイヴィ氏の手がけた最初のヴィデオゲームを世に送り出しました。このころアタリ以外のメーカはまだ「ポン」の亜流作りに終始していたのですが、アイヴィ氏はその枠に収まらないユニークなゲームをいちはやく完成させています。のちに「ブレイクアウト」(ブロックくずし) 型ゲームの原型として知られることになる「クリーン・スウィープ」です。このゲームの原点は、フライヤが示すように、ピンボールをヴィデオゲーム化しようという着想にあったようです。じっさいこれをよりピンボールに近付けたものが、のちにエキシディから「TVピンボール」というタイトルで登場しています。こちらはさらに「ブレイクアウト」に似ており、バンパー (ブロック) に当たったボールがランダムに跳ね返るという処理も施されていました。

「クリーン・スウィープ」はまた、ROMとRAMを組み込んだ最初のヴィデオゲームでもありました。ROMを使用したのはアタリ/キー・ゲームズの「タンク」が最初ではなかったかと思われるかもしれませんが、じつは「クリーン・スウィープ」は「タンク」より半年ほど先にこれを実現していたのです。それにもかかわらずアイヴィ氏の功績がほとんど知られていないのは、「クリーン・スウィープ」の注目度が低かったために他なりません。このゲームはあまりにも難易度が高く、プレイヤたちを長期的に惹きつけるには至りませんでした。しかしその斬新さは、さしあたりカウフマン氏の目を惹くのには十分でした。「ワイプアウト」「トリヴィア」といったゲームを手がけたあと、アイヴィ氏はエンジニアリング部門の責任者としてエキシディに引き抜かれることになりますす。