ワンチップ版コモドール64 密かにお目見え

先月ついにC64ダイレクト・トゥ・TVが発売されましたが、これが実質的にコモドール64をワンチップ化したものであること判明しました。コモドール64互換機・C-Oneの開発者であるジェリ・エルスワース女史が、アイアンストン社 (公式コモドール64リバイバルの実質的な元締) に協力していたことを非公式に認めているので、C-Oneをベースにしてワンチップ化を行ったものと見られます。再現精度もこれに近いらしく、なかなかに好評を博しており、初回出荷の25万台は早々に完売しそうな勢いです。

今回のワンチップ化は、ゲームマシンとしての用途に特化したものであるため、一部の機能が削除されています。しかし仮想キーボードを使ってBASIC言語を扱うことができる隠しモードなどがあったりして、より本格的なコモドール64互換機になりうる設計であることも確認されているのです。このチップの真価を見極めるべく、現在comp.sys.cbmにおいて急ピッチで解析作業が進んでいて、時折ジェリ女史から助言が届く光景がなかなか面白いのですが、NDAとかどうなってるのでしょう。

それはまあともかく、現在確認されている元祖実機との相違点は以下の通りです。

  • 256色表示可能な新しい画面モードが追加されている (ダイレクト・トゥ・TVではゲーム選択画面のみに使用。収録ゲームはオリジナル通りの16色を順守)。
  • ディスクイメージファイルの読み込みに対応。
  • 6502の未定義オペコードには未対応。収録ゲームからは逐一これを削除してあるそうで、「若干オリジナルを再現しきれていないところがある」とのこと。
  • カートリッジポート未対応。ゲームカートリッジだけでなく、拡張RAM (REU) も使えなくなるが、かわりにより柔軟で高速な独自のDMAコントローラが新設されている。
  • PS/2キーボードに対応可能。
実質的には、ある程度C-Oneの機能も取り入れた上位互換機といえそうですね。すでにキーボードやディスクドライブを繋いで、互換機として使えるようにしてしまった人や、それ専用にデモプログラムを書いている人まで現れています。製品化を目前に控えたワンチップMSXに、またも強力なライバル出現というところでしょうか (まあ市場が競合することはないのでしょうが)。

なお肝心のSIDサウンドについては「かなり良好」という意見が散見されますが、詳しいところはまだ不明です。