1チップMSXの予約数が伸びない原因を考えてみる

海外ワンチップ復刻機たちの絶好調ぶりに比べると、かなり世知辛い状況に追い込まれているといわざるをえない1チップMSXギガミックスさんの結論は、「とりあえず高い!」の一言に尽きるようですが、はたして本当にそうなのでしょうか? いえもちろん、MSX実機本来の価格やファミコン互換機といった比較材料を前にすれば、どう転んだところで高すぎるという批判は免れえないでしょう。しかしかつて、まったく無意味に高価でありながら、誰にも面と向かって高いと言わせなかったワンチップ復刻機が存在していたことを、忘れてはいけません。その名は「メガドライブ記念盾」。立案者自らバカ企画と呼んだ、実用性ゼロの商品でした。

2ヶ月の予約期間のあいだに、この「記念盾」には数百個の注文が集まったそうです。1チップMSXの目標数を考えれば何の参考にもならない数字かもしれませんが、ワンチップであるということ以外に何の価値もないオブジェでも、それくらいの予約を集められたという事実は、メリット・デメリットを超えた魅力の提示方法を示唆しているとはいえないでしょうか。

FPGAそのものへの貢献や学習用途まで考慮に入れているワンチップMSXともなると、このようなノスタルジ一辺倒な復刻は論外なのかもしれませんが、日本のレトロフリークの大半は、事実として旧世代機にノスタルジ以上の興味を持っていません。悲願達成のためには、こういうたぐいの選択肢にも目を向ける必要があるのかもしれませんね。