バベッジのゲームマシン (1)

コンピュータはゲームマシンとして使うことができる―――この事実に最初に気がついたのは、コンピュータの父チャールズ・バベッジその人でした。彼が解析機関というプログラミング可能な自動計算機を設計していたことは有名ですが、それとは別に解析機関の機構を応用したゲームプレイ専用の機械も設計し、あと一歩で事業展開できる段階にまで行っていたことは、あまり知られていません。

残念ながら、ゲーム研究者としてのバベッジ像は、まだほとんど認知されていないのが現状です。しかしバベッジのアイデアは、スペインの発明家ケヴェドに受け継がれ、そこからシャノンやチューリングのコンピュータ・チェス構想にも間接的な影響を与え、ひいてはACEコンピュータによる世界最初のコンピュータゲームソフトに行きつくという、歴史的に見てたいへん興味深いものなのです。そこで今回から数回にわたって、バベッジを起点とするコンピュータゲームの知られざる発展史を追ってみたいと思います。