スプライト の検索結果:

『それは「ポン」から始まった』 書評

…点が気になりました。スプライトはナムコ「ギャラクシアン」からであるといったような古い常識が散見されるのは残念なところです。またカタログスペックの書き写しのようになってしまっている一部の製品については、もう少し丁寧な説明を心掛けて欲しかった。それから著者の専門外である家庭用ゲーム機について間違いが多く見受けられます。国産機種については概ね問題ないものの、海外機種について大小さまざまな誤解が目につくのです。このあたりはスティーヴン・ケント氏の『アルティメト・ヒストリ・オブ・ヴィデ…

Advanced PICO Beena 今夏発売

…なさそうです。BG+スプライト方式で最大3万2000色、それでCPUはARM7となると、全体的な性能はゲームボーイアドバンスに近いものになりそうですね。ただしCPUクロックは81MHzと、5倍近く速いです。また音源もウェーヴテーブル32音ということで、2倍程度豪華です。ちなみにアプローズテクノロジーズは、かつて日立でSH-4 (DreamcastのCPU) を手がけた阪口幸雄氏が率いる新進ヴェンチャ企業。アミューズメント機器や玩具を主眼に置いたアプローチには、新世代株式会社に…

MSX3と3DOにまつわる噂の真相

msx

…く3DOに、わざわざスプライトに長けたV9990を選ぶ理由が見当たらないので、もとより信憑性に欠ける情報ではあったのですが、しかし両者の解像度や発色数に共通する点があることは見過ごせません。メガドライブにおける32Xのような形で、ポリゴン処理の結果をV9990を通して表示している可能性がないとも言い切れないわけです。まあ想像しようと思えばいろいろ想像できるわけですが、肝心の3DOはカスタムチップの塊で、詳しい技術情報は不明でしたから、真相は有耶無耶のままにされていました。とこ…

終わりに

…ってしまいましたが、スプライト史の話はとりあえずここまでにしたいと思います。「日本のスプライト史にも言及してほしい」というお声もいただきましたが、ファミリーコンピュータ登場以前の国産機でスプライト機能を持つものは、ほとんどすべてVDPを使用していたため、残念ながら語るべきものが見当たらないのです。唯一の純国産スプライトは、おそらくカセットビジョンの一部ソフトからスーパーカセットビジョンに連なるNECの系譜でしょうが、これについては情報が乏しすぎて、何も言えません。いっぽうアー…

VIC-II (MOS 6567/6569)

…ンピュータ登場以前のスプライト史で、もうひとつ忘れてはいけないのが、コモドール64の存在です。コモドールは傘下にMOSテクノロジという個性的な半導体メーカを抱えていました。ヴィデオゲーム方面にはさほど熱心な会社ではなかったのですが、それでも1977年〜1978年頃には、ゲーム機やターミナル機を視野に入れたMOS 6560, 通称VIC (Video Interface Chip) というグラフィクスチップを一応発売しています。VICは最高506枚のパターンブロックを軽快に描画…

VDPの系譜

…インストゥルメンツはスプライト機能を持つチップをリリースしていません。しかしVDPは彼らの手を離れ、ヤマハの手で改良されていくことになります。ヤマハ製VDPは、V9938に始まるMSX2系統と、セガとの共同開発による家庭用ヴィデオゲーム機系統の315-5xxxという、2系統に分かれて進化を続けました。MSX系VDPの面影は、わりと最近までアミューズメント機器用のPVDCシリーズに残されていましたが、現行チップはすべてフレームバッファ方式に移行しています。 (実線:上位互換。点…

VDP (TMS9918)

…まで幅広く採用され、スプライト技術のスタンダード化に大きく貢献したグラフィクスチップです。TI-99/4は開発コンセプトだけでなく、価格でも投入時期でもアタリ400/800と真正面から衝突しました。しかし緒戦では大敗を喫することになります。これは主にマーケティング戦略の失敗によるものでした。アタリ400/800と違って家庭用テレビで使うことができず、またゲームライブラリの充実ぶりでも水を開けられてしまったのです。しかし表現力ではアタリ400/800にひけをとるものではありませ…

CTIA/GTIA

…Cの制御下に、さらにスプライトを司るCTIA (Color Television Interface Adaptor) というチップが用意されていました (もしくはその改良版であるGTIA - George's Television Interface Adaptor)。チップの原案はマイナー氏によるものですが、実質的なデザインを手がけたのはジョージ・マクラウドという人物でした。残念ながら、彼についての資料は何も残っていないようです。CTIA/GTIAは、アタリVCSでいうと…

スプライトの起源 (4)

前回までに取り上げたスプライトチップたちは、いずれもヴィデオゲーム機のために開発されたものでした。しかしその後、競争の舞台はホームコンピュータの世界に移っていきます。アップルIIの成功により、ホームコンピュータが高級ゲーム機としても注目されるようになったためです。ゲーム制作を意識した作りのBASIC言語とパドルコントローラが標準で付属していたアップルIIは、最初のゲームパソコンであったともいえるでしょう。そしてこの着想にいち早く追随し、より強化する方向に向かったのが、アタリと…

STIC (AY-3-8900)

… チップにも、やはりスプライト機能が用意されていました。STICは同世代のスプライトチップのなかではもっとも素直な設計で、8x8ピクセルの単色キャラクタを、画面内に8枚まで表示することができます。背景についてはやはりビットマップを敬遠し、パターンブロック方式を採用。自由にデザインした「カード」(8x8ピクセル/2色) を240枚敷き詰めることで、比較的細やかな映像を作り出すことができました。また縦横方向のスクロールもサポートしています (前回述べたシグネティクスの2637Nも…

TIA

…要になります。つまりスプライト技術です。ビットマップ描画にはもうひとつ大きな問題点がありました。頻繁に膨大な情報量を処理しなければならないため、CPUに懸かる負担が大きくなりすぎるのです。逆にいうと、背景を簡略化すればしただけ、CPUのパフォーマンスは向上したわけです。前回述べたように、インテル側のスプライト技術は、主としてこの目的のために生み出されたものでした。インテルのスタッフは、縦横ラインとボックスだけ描ければ背景は事足りると考えたわけですが、グラスヴァレー・チームはこ…

スプライトの起源 (3)

インテルが世界最初のスプライトチップ・8244を完成させた頃、アタリは新型家庭用ヴィデオゲーム機・VCSの開発に着手していました。その最初の試作機をアタリのグラスヴァレー・チームが完成させたのは、1975年終わり頃のことです。時期的にはアーケードの「タンク8」とほぼ同じ頃合に開発されていたことになりますが、両者のスプライトの採用事情はまったく異なります。アーケード機におけるスプライトが「より多くの移動キャラクタを効果的に表示するための手段」だったのに対し、家庭用機のスプライト…

Magnavox Odyssey3

…名称 解像度 色数 スプライト 背景 Intel 8244 (NTSC) 8245 (PAL) 144x96 8 横方向に16キャラクタ (8x8/単色, ROMに64キャラクタ内蔵) グリッド (9x8ブロック) Signetics 2636N 128x200 8 横方向に4キャラクタ (8x10/単色) グリッド (16x20ブロック, 形状可変, 2ピクセル高と8ピクセル高を交互に配置) Signetics 2637N 128x208 / 128x104 9 画面内に4…

Emerson Arcadia 2001

…えていました。肝心のスプライト機能がまったく進歩していなかったのです。画面に5枚もキャラクタを表示すればちらつきが発生するなど、むしろ2636Nのほうがしっかりしていたとさえいえるくらいですから、スプライト時代の趨勢を明らかに見誤った設計だったというほかありません。この不幸なチップを採用したゲーム機の代表が、エマーソンのアルカディア2001 (1982)でした。日本でもバンダイから発売されていたので、貧弱なスプライト機能がゲーム内容をどれほど寂しいものにしていたか、ご記憶のか…

Interton VC-4000 / Radofin 1292 PVS

…考えれば驚異的なそのスプライト技術も、結局後の世に受け継がれることなくロストテクノロジと化してしまったわけです。しかし興味深いことに、ヨーロッパでは8244と非常によく似たヴィデオチップが、人知れず繁栄を遂げていました。フィリップス傘下の半導体メーカ・シグネティクスが開発した2636N, 通称PVI (おそらくProgramable Video Interface) です。2636Nには、8244との表面的な互換性はありません。しかしそのスプライト機能は、8244の「マイナー…

Odyssey2

スプライト技術を導入した最初のヴィデオゲームがアタリの「タンク8」(1976) だったことは間違いありません。しかし半導体レベルで話をするなら、先に製品化に漕ぎ着けていたのはインテルだったことになります。彼らがスプライト機能を持つヴィデオチップ・8244、通称VDC (Video Display Controller) を完成させたのは、1975年のことでした。その当時インテルで働いていたエド・エヴェレット氏は『ハルシオン・デイズ』 (ジェームズ・ヘイグ著, 1997) のイ…

スプライトの起源 (2)

第一回では、アタリがいかにしてスプライト技術を完成させ、敷衍させるに至ったかを解説しました。アタリが存在しなければ、あれほどの勢いでスプライト技術が発展・普及することはなかったでしょう。しかし実をいうと、そのアタリも唯一無二の発明者だったわけではありません。ヴィデオゲームメーカではないにも関わらず、アタリより早く同じ構想に辿りついていた人々が、ほかの企業にも存在していたのです。その企業とは、あの商用マイクロプロセサの祖・インテルです。

Professional Arcade

…VCSはハードウェアスプライト機能を持たせることにより、ゲーム用に映像の最適化を図ったわけですが、プロフェッショナル・アーケードはより多彩な画像処理を可能にする、いわゆるビットブリットに近い仕組みを持たせ、スプライト処理はソフトウェアに任せています。この方法だとハードウェアスプライトのようなキャラクタ同時表示数の制限がない代わりに、軽快な描画にはより多くの処理速度が要求されるわけですが、DNAチームは十分実用に耐える速度でソフトウェアスプライトを実現させていました。このチップ…

Atari Football

…、ついに最高16個のスプライト同時表示を達成しました。これで開発に弾みがつき、ブリストウ氏の夢見たゲームは1978年、ようやく「アタリ・フットボール」として完成するのです。このゲームは日本でこそまったく無名ですが、アメリカでは同年最大のヒット作となり、NFLシーズン中は「スペース・インベーダー」をも凌ぐ人気を誇ったといいます。このゲームはまた、トラックボールを採用した最初のヴィデオゲームとしても歴史に名を残しています。「アタリ・フットボール」で用いられたスプライトシステムは、…

Sprint 2

…ざかり、家庭用機でのスプライト実用化に心血を注いでいます。アーケード方面での研究を継いだのは、ブリストウ氏とならぶ古株であり、「インディ800」や「スティープルチェイス」を手がけたライル・レインズ氏です。彼はグラスヴァレーの技術をさらに発展させ、まず複数のスプライトキャラクタを重ね合わせて表示できるようにしました。この成果は「タンク8」と同じ年にリリースされた「スプリント2」に現れています。「スプリント2」は、マイクロプロセサとスプライト技術で「インディ800」を再構成したよ…

Tank-8

…ー・チームがしっかりと引き継ぎました。そして1975年の終わり頃までに、背景とキャラクタの処理システムを二分化し、水平帰線期間を活用してこれらを合成するというスプライトの基礎を、ついに確立するのです。この技術はのちに「ヴィデオ画面に移動オブジェクトを多数生成する方法」という特許になっていますが、製品としてはじめて実用化したのは、メイヤー氏らが自らデザインした「タンク8」 (1976) でした。アタリが初めてマイクロプロセサを採用したことで知られる、8人対戦型の戦車ゲームです。

Steeplechase

アタリがスプライト技術を編み出したのは、1975年頃のことです。この当時、アタリをはじめとする最先端のゲームメーカたちは、画面上で複数のキャラクタを効率的に描画するにはどうすればいいかという課題に頭を悩ませていました。「ポン」ぐらい単純なゲームなら、キャラクタごとにいちいち表示回路を組んでいても、それほど負担にはならなかったわけですが、ゲーム内容やキャラクタグラフィクスが複雑化してくるにしたがって、そういうやり方では設計面でも製造コスト面でも無駄が目立ちすぎるようになってきた…

スプライトの起源 (1)

…わゆるハードウェア・スプライト技術の確立は、ヴィデオゲーム史上もっとも重大なブレイクスルーのひとつに数えられます。1980年代のゲームが1970年代に比べて飛躍的に表現力を向上させることになったのは、この技術によって何十個ものキャラクタたちを縦横無尽に行き交わせることができるようになったためでした。1990年代にフレームバッファ方式が主導権を握るまで、ヴィデオゲームの進化は、スプライトの描画性能をどこまで伸ばせるかに懸かっていた―――といっても過言ではありません。日本でスプラ…

Amstrad CPC 464とその仲間たち

…ききますが、かわりにスプライト機能がありません)。CPCシリーズの開発を担当したローランド・ペリー氏は、「アムストラッドの製品ということで、高性能化よりも他社の製品に見られる欠点を排除することに重点を置き、安心して使えるようデザインした」と述べています。CPCの成功を支えたもうひとつ大きな要因は、キーボード、データレコーダ、モニタといった必要最低限の周辺機器が、最初からすべてセットになっていることでした。同じ方向性でヒットしたパソコンとしては、コモドール・PET-2001やM…

二代目ワンチップ2600

…て動作するソフトも、スプライトの表示が滅茶苦茶になってしまうことをつきとめています。ようするにこのチップは、本家の代用品として用いることをまったく想定していない、ワンチップ2600とは似て非なるものだということになります (にも関わらず、ヨーロッパではこのチップにカートリッジスロットをくっつけた、非常に紛らわしいVCSクローン機が出まわっていました。実際にカートリッジ損壊の被害も報告されています)。著作権表記以外は本家そのままだと信じられていた「TV-BOY」の内蔵ソフトも、…